CSR(Corporate Social Responsibility) 企業の社会的責任

 現在、問題になっているのが年々巨大化・悪質化している企業や官公庁における不祥事事件である。米国では、巨大企業エンロンが不祥事が原因で倒産にまでいたっている。
 このような不祥事を起こさないためにも、企業を取り巻く消費者、株主、従業員、債権者、地域社会、行政、NGO等がステークホルダー(利害関係者)として企業倫理の構築を求め圧力を強めてきている。

《CSRの定義》
 CSRとは「全ての組織が、経済・環境・社会の三つの側面を対象として、その責任と能力を果たす」ことである。

 欧米においても、CSRの定義には諸説があり固まっていないのが現実である。

 ◆ A.キャロル(1991年)
   全ての企業の社会的責任は、企業の経済的、法的、倫理的、社会貢献的責任の
   全てを満たす必要がある。

 ◆ EUホワイトペーパー(2002年)
   責任ある行動が持続可能な事業の成功につながるという認識を、企業が深め、
   社会・環境問題を自発的に、その事業活動およびステークホルダーとの相互関
   係に取り入れるための概念。

 ◆ 米国BSR(Business for Social Responsibility)
   社会が企業に対して抱く、倫理的、法律的、商業的、かつ公共的な期待を重ん
   じ、又はそれを上回る方法でビジネスの成功を勝ち得ること。

 ◆ コー円卓会議・企業の行動指針
   「共生」と「人間の尊厳」の精神に基づいた企業の行動指針からなっている。
   一般原則で、「ルールの尊重」「多角的貿易の支持」「環境への配慮」「違法
   行為等の防止」などを謳い、更にステークホルダー毎に原則を定めている。

 コー円卓会議(Caux Round Table:CRT)
 オランダのフレデリック・フィリップス博士(元フィリップス社会長)とフランスのオリビエ・ジスカール
 デスタン(元ヨーロッパ大学院副理事長)の提唱で1980年に創設、日本の故・賀来龍三郎キャノン会長の
 提唱により共生の概念をビジネスに取り込む。Cauxは、スイスのレマン湖の畔にある村の名前である。

《我が国のCSR精神》
 CSRは欧米が先進的のように云われるが、我が国にもCSRの精神は、江戸時代からあり、石田梅岩、二宮尊徳、渋沢栄一、岩崎小彌太等が、独自の説を展開している。
 また、日本のCSR精神の先駆者といわれる石田梅岩は集大成として著書「都鄙問答(とひもんどう)」を残している。この精神は、近年では、松下幸之助、稲盛和夫に受け継がれてきたと云われる。


《ISOの動向》
 CSRのISO化を目標にした国際的な動向が注目される。

 ◆ 2001年4月 ISO理事会
   CSRに関する企画・ガイドライン策定の検討の決議。

 ◆ 2004年4月 COPOLCO(消費者政策委員会)
   報告書作成及びTMB(Technical Management Board/技術管理評議会)に
   「7条件付きでガイドラインの作成を進めるべき」と勧告。

 ◆ 2004年6月 CSR国際会議
   第三者認証を目的としないガイドラインをTMBが策定することを決定。

 ISOの動向が遅々としている中、現状は、CSR基準・規格は乱立している。当面は、これらの基準・規格の中から、自分の組織の成熟度に合うものを選択するのが、賢い取組み方であろう。

 ・国連グローバルコンパクト(GC)
   コフィー・アナン国連事務総長が提唱して発足したもので、10原則を支持し
   実践することを求めている。

 ・日経連の「企業行動憲章」
   社)日本経済団体連合会の会員向けに、企業の社会的責任を制定している。

 ・経済同友会の「企業評価基準」
   総合的な企業価値の増進に向けた現状評価と目標設定のための実践ツール

 ・倫理法令遵守マネジメントシステム規格
   麗澤大学経済研究センター発行のISO規格を意識した規格になっている。

 ・社会責任投資基準「R−BEC001」
   麗澤大学企業倫理研究センター発行のSRI(社会的責任投資)を評価する基準
   になっている。

 ・CSR会計ガイドライン「R−BEC004」
   麗澤大学企業倫理研究センター発行のCSR会計のガイドライン

 ・GRIサステナビリティ・リポーティング・ガイドライン
   グローバル・リポーティング・イニシアティブ発行のサステナビリティ報告書
   を作成するためのガイドライン

 ・東京商工会議所の「企業行動規範」
   東京商工会議所の会員向けに、企業の社会的行動規範を制定している。

《CSR導入前の現状分析》
現状分析方法 概  要 詳  細
CSRギャップ分析






外部のガイドライン/評価基準/規格等への適合性を分析し、自社の使用際名CSR度を把握・分析する



●日本の業界団体のガイドライン
●SRIの評価機関・運用機関の評価項目
●国際基準
●各国のCSR規格
●外部格付機関の評価項目
●各国の政府機関・団体の動向

個別マネジメントシステム分析




現行運用しているマネジメントシステムを分析し、問題点・効果等を把握・分析する



●QMS(品質マネジメントシステム)分析
●EMS(環境マネジメントシステム)分析
●ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)分析
●OHSMS(労働安全衛生マネジメントシステム)分析
●MBO(目標管理制度)分析

ステークホルダー満足度分析




ステークホルダーの満足度や要望を分析する




●顧客アンケートの分析
  顧客満足(Customers Satisfaction)度の調査
●社員アンケートの分析
  従業員満足(Employees Satisfaction)度の調査
●住民から苦情分析

CSR先進企業分析


CSR先進企業のCSR推進状況を調査し、自社とのギャップを把握・分析する ●CSR総合ランキングベスト10(日経BP)企業の分析
●CSR報告書の分析

出典:「CSRマネジメント導入のすべて」 トーマツCSRグループ編著